高校の先生


「・・・もう終わり?」
「・・・はい・・・」
少しの沈黙の後、M先生が喋りだした。

「A君ありがとね。実はね、私もA君にお守りをあげたことが気にはなっていたの。教師としては
特定の生徒にだけそういうことをするっていうのはやっぱり良くないことだし、A君にもかえって
余計なプレッシャーを与えちゃったんじゃないかなって・・・」
「そんなこと・・・」
「でもね、そういう風に思ってたけど、今のA君の話しを聞いてたらやっぱりあげて良かったなって
思ったよ。教師としてはダメかもしれないけど、A君がずっとそうやって思ってくれてたんだったら
それはそれで良かったのかなって。そのことがずっと気になってたけど、今日A君が言ってくれた
から私も言えて良かったよ」

さっきまでの調子と違い、M先生は真剣な口調でそんなことを言った。
俺はまさかM先生がそんな風に考えているとは思わなかったし、嬉しくもあったんだけど、
何と返事をして良いかがわからず、ただ無言で立ちすくんでいた。
何か言わなきゃと焦るけど言葉が出てこない・・・。

とその時、助っ人が現れた。
と言ってももちろん誰かが助けに来てくれた訳じゃなくて、ちょうど教職員通用口が開いて誰かが
駐車場に向かってくるのが見えたんだ。

「先生、誰か来る!」
ある意味、我に帰るM先生と俺。

「ごめん!もう1回隠れててくれる」
M先生の言葉を待つまでも無く、俺は慌ててさっきまで潜んでいたガラクタの陰に身を潜めた。
現れたのは普段から口うるさい教頭。こんなところを見つかったら、俺はともかくM先生の立場は
まずいことになる可能性もある。

教頭とM先生は二言三言言葉を交わし、最後はM先生が挨拶して車に乗り込んだ。
と思ったら、M先生、車のエンジンをかけて走って行っちゃった・・・。

まさかこのまま置いてけぼりってことは無いとは思うけど、あっけにとられる俺。
しばらくして教頭の車も走り去り、あたりが静かになる。

殺風景な駐車場で一人ポツンと立っていると、しばらくしてM先生の車が戻ってきた。


「ごめんね。あのまま駐車場にいると変に思われそうだったから一旦外に出ちゃったよ。置いて
いかれたと思った?」
「いや、さすがにそれは無いと思ったけど・・・びっくりした」
「ごめん、ごめんww」

戻ってきたM先生はさっきの様子とは打って変わって、上機嫌でコロコロ笑っている。
俺が駐車場で一人ポカンとしているところを想像したら可笑しくなっちゃったらしい。
そう、M先生って意外とこんな風に笑う人なんだよな。
俺は今更ながらM先生との色々なやり取りを思い出しながら、ちょっと気持ちが解れた。
M先生は俺のそんな気持ちの変化を気にする素振りも無く、
「ここにいるとまた誰か来たら置いてきぼりになっちゃうね。ね、お家が大丈夫だったらこれから
一緒にご飯でも食べに行こうか?進学のお祝いしてあげるよ」
とごく自然な感じで俺を誘ってくれた。


まさかM先生の方から食事に誘ってくれるという意外な展開。
この流れも俺の事前シミュレーションには全く無かった。
というか良い意味で想定外すぎる。

俺は二つ返事でOKし、M先生の車に乗り込ませてもらった。
「校門出るまでは隠れててよww」
何となくこの状況を楽しんでいるような表情で笑うM先生が可愛いっ!!
それに車の中は何とも言えないいい匂いに包まれていて、まるで夢の様な気分。

俺は助手席で身体を小さく丸めながら、この展開が現実なのかと頬をつねりたい気分だったけど、
そんな心配をするまでも無く、それは俺が想像することすら出来なかった夢の様な現実だった。


「あー、ドキドキしたねーww」
校門を出るとM先生が話しかけてくる。
しかも昨日までの会話とは微妙に口調が違っている気がする。
言葉に親近感があるというか、親しみが込められているというか・・・

(・・・・もしかしてこれはデートというものなのか?)
成り行きとはいえ生涯初のデートを思いもよらずM先生と出来るなんて、こんな幸せなことが
あっていいんだろうか・・・俺はしみじみと幸せを噛み締めた。


それからの数時間は正に夢心地だった。
地元では知り合いに会うかもしれないということで、俺たちは少し離れた場所にあるショッピング
モールまでドライブし、その中のステーキハウスで夕食を食べた。
正直、俺は緊張と興奮で味はよく分からなかったけど、この1年間のトータルよりもはるかに多い
量の会話をM先生と交わすことができた。

俺は、M先生がよく笑う、思っていたよりもずっと気さくな人だって知って改めて魅力に取り付かれ
てしまったんだけど、M先生はM先生で「A君って意外とよく喋るんだね。そんな風に明るくしてたら
もうちょっと女の子にモテたかもよぉw」なんて褒めてるような嫌味のようなことを言って俺のことを
馬鹿にした。

でも楽しい時間ってほんとあっという間に過ぎてしまう。
食事を終え、8時を過ぎたぐらいになると、M先生が「そろそろ帰らないとね」と言い、俺たちは店を
出た。

「えーっと駅は□□駅でいい?送ってくね」
とM先生が駐車場で言う。
でも俺はこの夢の様な時間が終わるのが嫌で返事ができない。
それに駅で別れるといっても、それは今までのように「また明日」っていうような別れとは違い、
地元を離れる俺からすると、下手をしたらこれがM先生との最後の別れになるかもしれないわけで
そう考えると俺はとてもじゃないけど返事が出来なかった。
俺はこの時も何といって良いか悩み、無言で立ちすくんでしまった。


「どうしたの?」
訝しむようにM先生が尋ねた時、俺は意を決した。
見えないか何かが背中を押してくれたような感覚。
多分それは俺がM先生のことを心底好きだという気持ちそのものだったんだと思う。

この何時間M先生と話しをして、俺はもちろんだけどM先生にしても少なくとも俺に対して好意を
持ってくれているというのは分かった。
例えそれが恋愛という感情ではないにせよ、M先生が俺を食事に誘ってくれて、この時だけは二人
だけの時間を過ごしてくれたことは紛れもない事実。
俺はここで勇気を出さずに一体いつ出すんだという思いで口を開いた。

「・・・ねぇ先生。俺、まだ帰りたくないです・・・」
「えっ!?」
M先生が驚いたような顔で俺を見つめる。

「・・・まだ帰りたくないです」
「・・・でも、そんなこと言ったってどうするのよw?家の人だって心配するし、時間が時間だから
私だってもうこれ以上A君のこと連れ回せないよ」
「家は大丈夫。ただ俺もうちょっと先生と一緒にいたい。それに今ここで別れたらもう二度と先生
に会えなくなるかも知れないし・・・」
「もう、大袈裟だなぁ。大丈夫、また会えるよ。A君また会いに来てくれればいいじゃないw」 
「・・・・・・」
「ね、だから行こう」
そう言ってM先生が俺を促す。
俺はどうしても足が動かない。
「・・・ねっ、行こ」
業を煮やしたのか、M先生が俺の手を取り引っ張ろうとした時、再び俺の中で何かが破裂した。


「・・・先生」
「ん?」
「・・・先生、俺、先生とキスしたい・・・」
ついに言ってしまった。

「俺、今まで誰とも付き合ったこと無いし、キスだってしたことない。だからって言うのも変だけど、
俺先生に最初の相手になって欲しい・・・」
「・・・・・・」
「・・・駄目?」
M先生が明らかに戸惑っているのが分かる。
なんと答えて良いかを考えている様子。
だだっ広い駐車場を風が吹き付ける中で沈黙が続いた。

「・・・ごめんね。でもいきなりそんなこと言われても、教師としてはそういうことはできないよ・・・」
しばらくしてM先生が口を開く。
「俺、もう生徒じゃないです・・・」
「それはそうだけど・・・。でもやっぱりそれは無理。・・・ごめんね・・・」
M先生の困った顔。
そんな顔も魅力的ではあるけど、やっぱり現実は甘く無い。

「そっか、やっぱり無理だよね・・・」
「ごめんね。でも、そういう風に言ってくれるのは嬉しいよ。ありがと」

そう言うと、M先生は微かに笑い、「キスは無理だけど、握手」と言って俺の目の前に右手を
差し出した。
「ね、握手しよ」
M先生はもう一度言うと、失意と緊張で固まっている俺の手を取るとギュッと力を込めた。


M先生の細くてしなやかな指の感触と手の温もりが伝わってくる。
俺はM先生を見つめた。
M先生も真正面から俺のことを見ている。
俺が1年間見つめ続けてきたM先生が目の前にいる。
やっぱり堪らなく愛しい・・・

俺はもう駄目だった。
雰囲気に飲まれ、完全にM先生に酔っていた・・・


俺は力づくでM先生の手を引っ張ると、有無を言わせず抱きしめてしまった。
「きゃっ!」
小さな悲鳴を上げるM先生。
「先生ごめん。でも俺止まらなくて・・・」
そのままの状態で言い訳をする俺。
あごの辺りにM先生のやわらかい髪の毛の感触。
細い肩と大人の女性特有の甘い香り。
M先生は無理に抵抗すること無く俺に身を預けたままでいる。
頭の中が真っ白になる。

「・・・先生、俺先生のこと好きです。付き合ってくれなんて大それたことは言えないけど、
今日だけでいいんで、今日だけ俺と付き合ってくれませんか・・・」
気持ちの異常な昂ぶりにもかかわらず、俺は自分でも驚くほど冷静に、そして思いっきり
大胆な本音を口にした。


「・・・付き合うって?」
俺の胸の中でM先生が小さく尋ねる。
「・・・今日だけ、付き合うって・・・どういうこと?」
「・・・だから今日だけでいいんで、俺とずっと一緒にいて欲しいってことです・・・」
俺はひるみそうになる気持ちを抑えて必死に答えた。

M先生は俺の胸に両手を添えると、俺の体を押すようにしてゆっくりと俺から離れた。
「・・・A君、それ本気で言ってるの?」
「・・・うん・・・」
至近距離から俺を見つめるM先生に、声を絞り出すように返事をする俺。
少しの沈黙。

「A君、そんなこと簡単に言うけど、それってすごく大変なことだよ・・・ほんとに本気で言って
るの?」
「本気も何も、俺はM先生が好きですから!」
吹っ切れたように俺がそう言葉に力を込めると、M先生は困ったような表情を浮かべうつむいた。
髪の毛がパサリと落ちてM先生の顔を隠す。
俺は俺でもうこれ以上何か言うのは気が引けるような気もしたし、何よりもこれ以上は体に力が
入らない。
立っているだけで精一杯。なんか一瞬で自分の全精力を使い切った気がした。


居心地の悪い時間が随分と長く感じられた後、M先生がようやく口を開いた。

「・・・ねぇ、A君?」
「・・・はい」
「・・・困ったね・・・」
「・・・・・・」
俺がM先生の真意が分からず黙っていると、M先生はかすかに笑うと「ちょっと、ここで待ってて」
と言い残し、建物のほうへ歩いていった。

駐車場に立ち尽くす俺。
M先生の真意は分からないけど、ただ俺にはもう退路が無いことだけは間違いなかった。
言うことを言ってしまった以上、後はM先生の判決を聞くだけ。
俺は脱力感と共に、一種の清々しい気持ちさえ覚えながらM先生の戻りを待った。


M先生は数分で戻ってきた。
その顔にはほとんど表情がなく、見ようによっては怒っているようにも見えた。
「あー、やっぱり怒ってるのかな・・・」
急に不安になった俺に対して、M先生はいつものように正面から真っ直ぐに俺の目を見つめると、
少し息を吸い込み
「本当にお家は大丈夫なの?もし家に帰らないつもりだったら、お家の人が心配しないように
連絡だけはちゃんとしておかないといけないよ。最低限それだけはお願い」
と小さく俺に命じた。


長いんで一度切ります。



緊張感に包まれた車内はまるで会話が無かった。
時々盗み見るM先生の横顔はさっきと同様に何か怒っているようにも見えて、軽々しく話しかけ
られるような雰囲気ではなかった。

どこをどう走ったか分からないけど、車はやがて市外を走る高速道路のインターチェンジの近くを
走っていた。
周辺にはケバケバしいネオンを点したラブホテルが林立している。
「・・・私も良く分からないから」
M先生は独り言のようにつぶやくと、狭い路地を折れ、その中の一軒の建物に車を滑り込ませた。

遊園地のアトラクションの様なエントランスで部屋を選ぶと、俺たちはエレベーターに乗り込んだ。
狭い箱の中で、音が聞こえちゃうんじゃないかって言うぐらい心臓が波打っている。

目の前にはM先生が立っていて、そしてそのM先生とこれから・・・
そう思うと俺は期待と不安で、思わず生唾を飲み込んだ。
思いのほか大きく喉が鳴ってしまい、M先生が思わずこちらを振り返る。
「・・・もう」
そう言うとM先生は小さく笑った。


部屋に入ってからのことは緊張のせいか、断片的な記憶のつなぎ合わせになる。

ただ俺は何故かベットには近づいてはいけないんじゃないかっていう気がして、とりあえず
ソファーに腰を下ろしていた。
M先生はしばらくは洗面所のほうへ行ったり、上着をクローゼットにしまったり色々動き回って
いたけど、一段落したところでようやく俺とは少し間を開けてソファーに腰を下ろした。

2人の間に微妙な空気が流れる。

「・・・A君」
M先生が口を開く。
「あのね、ちょっと聞いてくれる・・・」
そう言うとM先生はゆっくりと話し始めた。
真剣な表情。


「A君、私ね、さっきA君に今日だけ一緒にいたいって言われた時すごく迷ったのね。正直言うと
今でも迷ってる。でもA君にそう言われて、どこか心の中で嬉しいっていう気持ちもあったのね」
「・・・・・・・・」
「でも、やっぱりこういうことはしちゃいけないことなんだとも思うの。だから、こういうのは本当に
今日だけにしよ。それだけ最初に約束してくれる?」
静かではあるけれど、M先生の言い方には有無を言わせない強さがあり、俺は素直に応じざる
を得なかった。
「・・・うん、わかった・・・」
俺が返事をすると、M先生は少しホッとしたような表情を浮かべた後、
「ありがと」と言うと、先にお風呂入るねと言って立ち上がった。
いきなり風呂!?と俺が思う間もなくM先生は視界から消えると、バスルームに明かりが灯り、
しばらくすると部屋とバスルームを隔てる擦りガラスに一瞬M先生のシルエットが映った。


風呂から出てきたM先生はバスローブ姿になり、髪の毛も束ねてアップにしていた。

俺が今まで見たことも無い色っぽい雰囲気のM先生の姿に思わず見とれていると、
「ちょっとw、あんまりジロジロ見ないの!」
とM先生が笑いながら釘を刺す。
さっきまでの重たい感じとは違い、明るいM先生が戻っている。

「じゃあ俺も入ってくるね」
俺は緊張からこの状況に何かいたたまれない感じを覚え、逃げるように風呂に向かった。
脱衣所で服を脱ぐと、俺の裸体が鏡に映る。

(俺、今M先生と一緒の部屋で裸になってるんだな・・・)
とかキリが無いくらい色々なことを考えてしまう。

風呂では念入りに身体を洗った。
童貞とはいえ、知識だけはひと通りある。
もしかしたらここをM先生が口でしてくれたりするのかな?などと想像しながら俺は体の
隅々までボディソープの泡を行き渡らせた。

よからぬことを想像したせいか、念入りに洗ったせいか、あっという間にチン○が立ってしまった・・・


俺が緊張の面持ちで部屋に戻ると、部屋は既に灯りが落とされて薄暗くなっており、M先生は
ベッドに腰を掛けていた。

「ドキドキするね」
「・・・うん」

短い会話を挟んで、俺はM先生の横に座った。
俺はおずおずと手を伸ばしなんとかM先生の手を握ったものの、その後をどうして良いかが
わからない。
俺が固まったままでいると、M先生が俺の方を向き「私だって緊張してるんだよ・・・」と囁いた。

その一言がきっかけになった。

俺はゆっくりとM先生の方に身体を捻ると、そのままキスをし、布団の上にM先生と一緒に
倒れこんだ。
ただ当然のことながら俺には全く余裕が無い。
憧れのM先生とキスをしたというのに、その余韻に浸ろうともせずに、俺はすぐにM先生の胸に
手を充てると、いきなり乱暴にバスローブを脱がそうとしてしまった。


「ちょっ、ちょっとA君!」
M先生が慌てたように声を上げる。
「ちょっとA君、慌てすぎだよ。落ち着いて!」
「あ・・・」
我に帰る俺。完全に平静を失っていた。

M先生は「もー、A君はー」と叱責口調ながらも、「と言っても初めてだから仕方ないか」と
優しく言うと、俺と体勢を入れ替え「最初は私からするから目を瞑ってて」と囁いた。

素直に目を瞑った俺にM先生がゆっくりとキスをする。
さっきとは違い柔らかな唇の感触が良くわかる。
M先生は唇だけでなく、俺の頬や首筋にもキスをしながら、同時に手で俺の身体を撫で回し
てくれる。


細い指先のやわらかな感触が地肌に触れてたまらなく気持ちがいい。
M先生は俺のバスローブに手を掛けるとゆっくりと脱がしにかかる。
ジリジリするほど動きが遅く、完全に焦らされているのがわかるど、俺にはそれに抗う術は
なく、ただひたすらされるがままの状態。

M先生が俺の乳首に舌を這わす。
冷たい舌先の感触。今までに経験したことの無い快感が全身を貫く。
舌はさらに下のほうに移動し、下腹部の辺りに到達したところで、M先生の手がパンツにかかり、
ゆっくりと下ろされた。
完全に勃起したチン○がM先生の目の前で剥きだしになる。
M先生に勃起したチン○を見られている!!そう思うだけで、たまらない興奮!!
しかし、ここでも俺は焦らされ、M先生は一切チン○には触れてくれない。


再びM先生がキスをしてきて、「起きて」と優しく命じる。
言われるがままに上半身を起す俺。
M先生が背中越しに自分の身体を押し付けてくる。
M先生もいつの間にかバスローブを脱いでいるみたいで、乳房の膨らみや素肌のスベスベした
感触が背中に感じられる。

今度は後ろから耳元にキスをされたと思ったら、胸の辺りをさすっていたM先生の手がゆっくりと
滑り、そのままチン○を握られた。
不意を突かれて、「あぁ」と思わず情け無い声が出る。

「・・・先生」
「なに?」
「気持ちよすぎ・・・」
「ほんとにww」
M先生が可笑しそうに笑う。

「先生、目開けてもいい?」
「開けたい?」
「うん、開けたい」
「じゃあいいよ。でもあんまり見ちゃ駄目だよ」
そんなやり取りの後、俺はゆっくりと目を開けた。

M先生は俺の背後にいるので姿は見えない。ただ背中から伸びているM先生の右手がしっかりと
俺のチン○を握っている。
俺は振り向いてM先生と向かい合いたいのに、チン○を握られているため振り返ることができない。

「先生、手が・・・」
「なーに?」
「振り返れない」
「振り返りたいの?触られるの嫌なの?」
「いや、嫌じゃないけど、先生のこと見たい・・・」
「そう、じゃあ、いいよ」
そう言うとM先生はいきなり俺のチン○をシコシコと数回強くこすった。
「ああっ」
また情け無い声が出る。完全にM先生に弄ばれている。

M先生がようやく手を離してくれ、俺が振り返ると、そこには一糸纏わぬ姿のM先生がいた。
ちょっと照れたような表情の下に、細い身体に似合う小さなおっぱいがはっきりと確認できた。
M先生の何とも言えず恥ずかしそうな表情・・・

そして視線を下のほうに移すと、そこにはいやでも黒い茂みが目に入る。
そしてその茂みの奥には夢にまで見た・・・

俺がそんな想像をめぐらせていると
「もう、あんまり見ちゃだめって言ったでしょ!」
M先生が恥ずかしさに耐え切れなくなったのか、俺の顔に手を伸ばし、視線を塞ごうとする。
細い指が顔に触れると、その代わりにM先生の両脇のガードはガラガラになる。

すかさず俺はM先生の両脇から腕を滑り込ませ抱きかかえると、そのままベットに押し倒して
キスをした。
今度は俺が上になる体勢になり、M先生の体を抱きしめると体の自由を奪ったままキスを
し続け、さらに調子に乗って舌まで絡めてみた。

「もう!Aのエッチ!」
M先生はもがいて俺から逃げると、俺のことを初めて呼び捨てで呼んだ。
今度はM先生の逆襲。
「経験も無いくせにそんなことしてw。仕返し!」
そう言うと、M先生はまた俺のチン○を握るとグリグリッと捻り回し、「こんなにしてるくせにーw」
とわざと耳元で囁いた。

言葉攻めと局部への直接的な刺激、もちろんビジュアル的には全裸のM先生が俺の股間に
手を伸ばしてしごいてくれているという光景。乳房もお尻も、陰毛も全部が丸見え。
正直、童貞にこの3点セットは刺激が強過ぎた。

「先生ごめん!!このままされたら出る!!」
俺は敢え無く降参すると、M先生の手を振り払った。
「勝手なことするからそうなるんでしょww」
勝ち誇ったように笑うM先生。
なんかM先生Sっ気がでてる、っていうかそういう性癖の人だったのか!?

「ねぇ」
M先生が俺の耳元に顔を近づける。
「もう、する?」
「えっ・・・」
「まだ?」
「いや・・・」
実際のところ、このままいたぶられ続けたら遅かれ早かれ射精させられるのは目に見えて
いたし、というよりも既に危険水域はもうとっくに越えていた。
もちろんこんなイチャイチャも俺にとっては最高の体験には違いないんだけど、やっぱり童貞
にとっての最大の関心事はその先。
つまり、女の人のあそこを生で見て、そこに自分のチン○を挿入すること。
これこそがSEXであり、童貞時代に焦がれるほど想像し、それでも結局よく分からない究極の
行為(大袈裟かw)。


「・・・いいの?」
伺うように尋ねる俺。
「いいよ。ってそんなこと言わせないでww」
もうって言うみたいにM先生は俺にもたれかかると、そのまま体勢を崩して俺のチン○を口に
咥えてくれた。

夢にまで見たフェラチオ!!しかもM先生が俺にしてくれてる!!

夢の様な光景。しかしこの期に及んでのフェラチオはある意味諸刃の剣。
要するに気持ちがよすぎる。
(これ以上はやばいっ!!)
俺の悲鳴にも似た心の叫びを知ってか知らずか、M先生はすぐに口を離すと、「着けてあげる
ね」と言って、枕元にあったコンドームの袋を破るとゆっくりと俺のチン○にかぶせ始めた。

「先生、俺多分すぐイッちゃうと思う・・・」
初めての時にアッという間にイッちゃうっていうのは良く聞く失敗談だけど、自分も間違いなく
その仲間入りすることを確信した俺は先にM先生に申告した。

「いいよ。最初は自分の事だけ考えてればいいからね」
M先生が優しく言ってくれる。
この人優しいんだかSなんだか良くわからない。でもほんと大好き。

「恥ずかしいから最初は私が上になるね」
M先生はそう言うと、おもむろに俺の上に跨った。
結合部を凝視する俺。
M先生が俺のチン○を掴み、自分の中心部に誘導すると、ゆっくりと腰を下ろす。

チン○の先が肉のトンネルを分け入って行く様な感覚。
チン○全体が温かく包まれる感じと、先端部分に電流が流れるような快感。

「あー、ふぁー・・・」みたいな俺の声と、
「ンッ」というM先生の声が同時に漏れる。

M先生のおま○んこが俺のチンポを根元まで飲み込むと、M先生はゆっくりと身体を倒し、
俺の体とぴったり重なり、優しくキスをしてくれた。

「・・・入ったのわかる?」
「うん・・・」
「動かして大丈夫?」
「・・・駄目かもしれないけど、動かして欲しい・・・」
「じゃあ動かすよ。ウンッ」
M先生も気持ち良さそうな声を出した後、ゆっくりと腰を振り始めた。

チン○全体が絞りあげられる様な快感が背筋を走る。
オナニーが点だとすると、おま○こは面。良くわからないけど快感の質がそんな感じ。
「ねぇ・・・気持ちいい?」
M先生が追い討ちをかけるように優しい口調で尋ねる。
M先生はゆっくりと腰を動かしながらも、俺を上からじっと見下ろしたまま視線を外さない。
俺は今まで見たことが無い恥ずかし気なM先生の表情を見つめたまま、快感に身を委ねる。
お互いの目を見つめ合ったままでいることが嫌でも興奮を高める。
あっという間に絶頂感が訪れた。

「先生。いきそうっ!!」
「いいよ。そのまま出していいよ」
そう言いながらM先生が俺に抱きついてくる。
俺はM先生の言葉が終わるのを待ちきれずに、爆発するかのように発射した。

チン○が自分の意思とは無関係にビクビクとM先生のおま○この中で飛び跳ねる。
ビクッとチン○が痙攣するたびに、その刺激が伝わるのかM先生が小さな喘ぎ声を漏らす。

そんな状態が数回続き、ようやく射精が収まったのを確認すると、M先生はゆっくりと体を起こし
チン○を抜くと、俺にキスをしながら、
「A君の最初の相手になっちゃったw」
と少しはにかんだような言い方で微笑んだ。


その後、俺とM先生は深夜まで何度も体を重ねた。
俺は初体験だし猿のようにM先生の体を求めたけど、M先生も嫌がることなく積極的に俺のことを
リードしてくれた。
やっぱり普段から人を教える立場の人は自分が主導権を握る方がしっくりくるのか、普段はエッチな
雰囲気なんて全く無い人が、ベットの上ではすっかり積極的で、色々な行為を厭うことなく受け入れ
てくれた。
フェラチオ、69はもちろんのこと、マングリ返しや顔面騎乗(俺の顔へのおま○こ擦りつけ)までして
くれたし、体位も正常位、騎乗位、対面座位、バック等、おそらく普通のSEXでやれる行為は、大方
この日のうちにM先生が試させてくれたような気がする。


また特に忘れられないのは、M先生に後ろから挿れたこと。
実は俺は童貞時代からの夢としてバックでの挿入に強い憧れを持っていただけに、このときは感激
した。
俺が四つんばいになって欲しいって言ったら、最初は恥ずかしがっていたけど、最後は諦めてお尻を
突き出してくれたM先生。

この上なく恥ずかしい格好をしたM先生のおま○こがぱっくり口を開いている。
よく初めて見たおまんこはグロかったとかいう話しを聞くけど、俺にはそういう感覚は全く無くて、
むしろ何でこんな素敵な人にこんないやらしい形状のものが付いてるんだろうと思うと、逆に
物凄く興奮したことを覚えている。

中心部だけでなくその周囲までがテラテラと光っているM先生のおま○こ。
俺は既に愛液ですっかり黒光りしているM先生の陰毛の間にチン○をあてがうと、遠慮なくぶち込み
思いっきり腰を振った。
M先生が仰け反るように体を硬直させ、喘ぎ声を上げる。
局部と局部がぶつかる激しい音を聞きながら、俺はM先生の尻を鷲掴みし左右に思いっきり広げると、
チン○とおま○この結合部をじっくりと凝視した。
出し入れに伴いM先生の肉襞がチン○にまとわり付いてくる様がこの上なくいやらしい。
お尻の穴も皺の一本一本まではっきりと確認できるぐらい丸見え。
「先生、凄い・・・丸見えだよ」
思わず俺がそう言うと、恥ずかしさのあまり、喘ぎ声を上げながらも「そんなに見ちゃだめっ!!」
と懇願するM先生の姿態がさらに興奮を誘う。


「先生っ!先生の中凄く気持ちいい!」
「アアッ、もう言わないで!あん、もう、アンッ、凄いっ!」
「先生、好きです!」
「あー!もうおかしくなるっ!!」
「出るっ!!」
「いいよ!出してっ!!あぁっー!!」
瞬く間に興奮はピークに達し、結局この時はそのままバックの体勢のまま射精をした。
憧れのM先生のケツを鷲摑みにして後ろから突きまくった征服感と、M先生の泣くような喘ぎ声。
あまりにも強烈な印象が放出を終えた虚脱感の中にも鮮明に残っていた。


「すごく気持ちよかった・・・」
「・・・初めてなのにいっぱいしちゃったね」
「でも最初の相手がM先生で、俺ほんとよかった・・・」
「そうだよー。感謝しなさいw。でもね私も嬉しいよ」
「ほんとに?」
「ん?うそww」

そう言うとM先生は俺に軽くキスをすると、顔を胸に埋めてきた。
M先生をぎこちなく抱きしめる俺。
華奢な背中をさすっていると、教師と生徒ではなく、一人の男と女としての関係になった様に感じる。
俺とM先生はぴったりと体を寄せ合い、いつまでもお喋りをしていた。
M先生のやわらかい体の肌触り感じながら、至福の時ってこういう事を言うんだな・・・
俺はそんな事を心の底から実感していた。


夢の様な夜が終わり、翌朝俺たちはかなり早くホテルを出た。
M先生は一度家に戻り着替えなくてはならないためほとんど時間が無く、俺は近くの駅で下ろして
もらった。
駅で別れるときは、お互い疲れと恥ずかしさでロクに挨拶も出来なかったけど、俺としては本当は
昨夜の食事の後そのまま別れていてもおかしくなかったことを考えれば、こんな素晴らしい朝もない
というのが素直な感想だった。

(大人の男になりました・・・)
俺は生気が抜け疲れきった体を充実感に浸しながら家路についた。

その後、何日かして俺は予定通り引っ越しをした。
ホテルに行った時にはその日限りっていう約束ではあったけど、実は引っ越しの前日にもM先生
には会った。
実際は俺が強引に頼み込んで会ってもらったっていうのが本当なんだけど、M先生の方もそれ程
抵抗感がある様子でもなく、意外とすんなり時間を作ってくれたので嬉しかった。

俺としてはこの間の夜の一件以来すっかり頭の中はM先生に支配されていたから、もうこの際
正式にM先生に交際を申し込んじゃおうかって勢いだったんだけど、その辺りはM先生に巧みに
話を逸らされ、結局告白は未遂に終わった。

「いよいよ明日行くんだね」
「行きたくないなー」
「何言ってるのww」

そんな会話を延々と繰り返した挙句、翌日俺は未練たらたらのまま地元を離れた。
引っ越してしまえば、俺の地元と引っ越し先の土地は気軽に行き来するにはあまりにも距離が
ありすぎたし、引っ越し後の片付けや手続きをしているうちに学校が始まり、学校が始まれば
俺には授業やバイト、その他もろもろの日常があり、M先生はM先生で当然仕事があるので、
その後しばらくはM先生と会う機会はなかった。


引っ越し後、ようやくM先生と会えたのはGW。
M先生が俺のアパートに遊びに来てくれた。
「俺の部屋に最初に入った女の人だよ」って言ったらM先生なんか照れてた。

でもその日の夜にあの日以来のエッチをした後、俺は唐突にM先生から別れを告げられた。
別れるって言っても元々付き合ってるっていう訳じゃないからそういう言い方は変なんだけど、
要するにもう会うことは出来ないよってことを言われてしまったんだ。

「どうして!?」
問いかける俺に対するM先生の回答は明快で、簡単に言うとお互い先の見えない恋愛は傷が
深くならないうちに止めておこうというものだった。

当時M先生は26歳で俺とは8歳の年の差があった。
つまり俺が卒業する時にM先生は既に30歳を迎えることになり、M先生が結婚の適齢期の
ピークを迎えるときに、俺はようやく社会に出たばかりで、さらにそれから一人前になるまでに
数年を要すことを考えると、「私はそれまで待てないよ」というのがM先生の言い分だった。

卒業時期に突発的に接近した俺たちには2人で築き上げた拠り所の様なものは何もないし、
しかも親密になった矢先にすぐに遠距離ではお互いのことを深く知ることすらも難しい。
冷静になって考えればM先生の判断は妥当と言うよりはむしろ当たり前で、俺にしてもそれを
強く拒むだけの自信は正直いって無かった。
当時の俺にはM先生に対する愛情以外は何も無く、確かな将来像や目標、人生設計の様な
ものを考えたことは無く、当然のことながらM先生に対する責任を担保する具体的なものは
何一つ持っていなかった。

M先生はそんな現実を見つめると、このまま俺とこういう関係を続けていくことが自分にとっても
俺にとっても良いことではないと考え、そうとなれば俺との関係をこのままずるずると続ける訳
にはいかないと判断した。

「ごめんね。でもA君といつまでもこういう関係を続けることは出来ないし、今のうちにお別れして
おくほうがお互いにとっていいと思う」
M先生がすまなそうに、でももう決めたことだからって感じで俺に告げる。

俺は元々彼氏でもないし、それにこういうことを言われることを全く想像しない程楽天的な性格
でもなかったから、変な言い方だけどM先生の言葉は自分でも意外な程冷静に受け止めることが
出来た。
それに悲しいという気持ちよりも、俺のことを男にしてくれたM先生に感謝するという気持ちが
あまりに大きくて、ここで未練がましくM先生にすがって迷惑をかけたくないって気持ちが悲しみ
に勝り、結局のところ俺はほとんど何も反論することなくM先生の申し入れを受け入れた。

「うん。わかった。先生、本当にありがとう」
「・・・ごめんね」

本当は感謝や寂しさ、その他色々な感情が湧き上がってきたんだけど、俺にはそれをどう言葉
にして良いかがわからず、ただM先生に覆いかぶさると強く抱きしめキスをした。
M先生も何も言わず、そっと俺の頭に手を添えると、やっぱり同じように俺のことを抱きしめ、
そのままじっと動かずに俺のことを受け入れてくれた。
結局その日の夜は話しをするというよりは、そんな感じで2人で体を寄せ合ったまま時が過ぎて
いった。


翌日は眩しいくらい良い天気だった。
昼間はM先生と二度目にして最後のデート。
人出の多いところは避け、近場の大きな公園に散歩に出かけた。
公園では恥ずかしかったけど手をつないで歩き、話が盛り上がるとM先生はいつものように
コロコロと笑っていた。

俺がM先生と同じような年齢だったら、俺がM先生と付き合えたのかな・・・?
そんな疑問が頭の中をよぎったりする。
いやそんな簡単なモンじゃないだろ。今回はたまたまタイミングがよかっただけだって・・・
すぐに別の声も聞こえる。

すぐ目の前にM先生がいるのに、何故かそれが現実ではないような不思議な感覚。
すぐ近くにいるのに決して手の届かない俺とM先生との距離感。
俺はM先生の一挙手一投足、どんな些細なことでも目に焼き付けておこうと思い、ただひたすら
M先生の姿を見つめ続けていた。
俺のそんな気持ちを知ってか知らずか、この日のM先生はいつにも増して明るく、優しくて、
そしていつもよりもすごく綺麗だった。


夕方になりいよいよ別れの時間が迫ってきた。
M先生を見送りにターミナル駅へ向かう。

駅に着くとさすがに別れの時が近づいてることが実感されて、俺は何を話してよいかわからず
言葉がでてこない。

M先生は改札口の手前で振り返ると
「A君ありがとう。もうここでいいよ」と言った後、一呼吸置いて
「私、A君と会えて良かったよ。ありがとう」
と言った。
M先生の目が少し赤くなっている。
その表情を見て、俺は無性に悲しくなりもう何も言うことが出来ない。

ありがとうって感謝しなくてはいけないのは絶対俺の方なのに・・・

俺はこんな素敵な人とほんの一時でも特別な関係になれたっていうことが、今更ながら不思議な
気がして、なにか居ても立ってもいられない気持ちになった。

「先生、俺のほうこそほんとに・・・俺、本当にM先生と出会えて・・・」
俺も何とかお礼を言おうとしたけれど、そこまで言うのが精一杯で、後は自分でもビックリする
ぐらい涙がでてきて言葉にならなくなってしまった。
M先生も驚いて、「ちょっと泣きすぎだってw」と言いながら、ハンカチを貸してくれたけど、そう
いうM先生も涙をぽろぽろ零していた。


時間が来てM先生が「じゃあ、行くね・・・」と言って改札を通り抜ける。
あっという間に距離が広がって、やがてエスカレーターで小さく手を振るM先生の姿が視界から
消えた。
俺はその後も改札口に佇み、電車の出発時刻を知らせる表示板からM先生が乗る電車の表示が
消えるのを確認した後、ゆっくりとその場を離れた。
もしかしてM先生が電車に乗らずに戻ってきてくれたりしてなんてことも頭をよぎったけど、現実
にはそんな奇跡は起こるはずもなく、俺は一人寂しく家路についた。

その後自分がどこをどう歩いて家に帰ったのか、今となってはほとんど思い出すことは出来ない。
ただ部屋に戻った後は何もせず寝転んだままひたすら天井を見つめていたことを覚えている。
少しでも動くと張り合いを失った体がバラバラになりそうで、俺はただひたすら天井を見上げながら
M先生との数少ない思い出を何度も何度も反芻していた。


それから数日後、抜け殻の様な状態の俺にM先生から手紙が届いた。
そこにはM先生らしい力強い大きな文字で、お詫びとお礼、そして俺に対する激励の言葉が
記されていて、文面の言葉をM先生が喋っているかのように頭の中で読み上げると、半年前に
西日の当たる教室でM先生に叱られたことが思い出されて仕方が無かった。

わずか半年ぐらい前の出来事が遥か昔の出来事のように感じられるけど、それはこの半年間が
俺にとって人生で最も刺激的で充実していた時間だったという証明なんだと思った。


その日の夜は痛飲した。
ガキで酒の味なんてロクにわからないくせに、俺はアパートの部屋で一人でひたすら前後不覚
になるまで酒を飲んだ。
案の定、翌日はとんでもない二日酔になったけど、俺は酷い吐き気と頭痛の中で、二日酔いの
苦しみをM先生との別れの辛さに投影していた。
二日酔いが治ればM先生との別れの苦しみも消える。
そんなことがあるはずも無いのに、俺はそんなことを朦朧とした意識の中で考え、一日中苦しみに
のた打ち回っていた。
ただその日に限って言えば、何故か二日酔いの不快感がそれ程嫌ではなく、泣きたい様なそれ
でいて笑いたいような奇妙な感覚がいつまでも不思議と残っていた。

それから4年が経ち、俺は無事に大学を卒業した。
あの日以来俺がM先生と会うことは無く、大学生活自体はM先生が言っていた程素晴らしいもの
でもなかったけど、それでも俺なりに悔いの無い学生生活を全うし、卒業後は平凡な就職をして
現在に至っている。

恋愛についてはその後何人か深い関係になった女性はいたけれど、さすがにあの時のM先生
との様な焦がれるような経験はしていない。
今でも大した恋愛経験を積んだわけじゃないし、これからも憧れの人との初体験を超えるような
経験をするっていうのは難しいかもしれないけど、それはそれで仕方がないと思うし別に残念な
ことでもない。
俺にはひとつ大切な思い出がある。
それ以上でも以下でもなく、その事実だけで充分だと思っている。


最後に、なんでM先生は俺みたいな冴えない生徒とああいう関係になったのかっていうことが
ずっと俺の中では謎ではあったんだけど、後に親しくなったと知人の女性(彼女ではない)に何か
の折にそんな話しをしたら、「母性本能がくすぐられちゃったってことじゃないの。Aさんってそういう
とこあるよ」と言われて、そんなもんかなーと思ったことがある。

当時、何をやってもどこか自信無さげな俺の姿がM先生にはもどかしく、それ故気にもなり、何とか
成長させてあげたいという風に思わせた部分があったのかもしれない。
もちろん今となっては真相を確かめようも無い話ではあるけれど、もしいつかM先生と会う機会が
あればその辺りのことを聞いてみたいという気がしないわけでもない。
まぁ俺も当時のM先生の年齢をとっくに超えているし、M先生はさらにいい年齢になられている訳
だから、もしそんな機会があったら少しは大人の会話が出来るかもしれないなーなんて考えること
もある。


今は仕事に追われるしがないサラリーマンの思い出話はこれで終り。
なんか吐き出させてもらったって感じかな。
読んでくれた人ありがとうございました。

おわり。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。